楊朝明氏:『孔子家語』は中華文明史研究の新しい発展を推進する

ソース:中国孔子網作者: 2021-10-23 11:52

  編者による:10月16日、中国孔子基金会の支持の下、尼山世界儒学センター孔子研究院が主催し、中華孔子学会論語学研究センター、『孔子研究』編集部、洙泗書院が担当した「『孔子家語』と中国文化の新しい認識ハイエンド学術フォーラム」が曲阜で開催された。全国の各大学と学術研究機構から50人余りの専門家学者は共に『孔子家語』の新しい研究認識を検討し、それぞれの最新の研究成果を共有した。

  フォーラム期間中、尼山世界儒学センター副主任、孔子研究院院長の楊朝明氏は中国孔子網の独占インタビューを受け、『孔子家語』の学術的な地位、価値とその現代における意義を深く解読した。

  『孔子家語』は「孔子研究第一書」である

  中国孔子網:『孔子家語』はどんな本ですか?それは『論語』とどのような関係があるのでしょうか?

  楊朝明:『孔子家語』は非常に重要な著作であり、その価値は決して『論語』より低くありません。中国の伝統文化の経典は『四書五経』を核心としています。四書は五経を説明するものであり、五経よりも簡単ですね。一方、『孔子家語』の価値は決して四書より低くありません。「儒学第一書」や「孔子文化第一書」と言っても過言ではありません。しかし、この本は長い間偽書とされてきたため、十分に重視されませんでした。研究がこの本に触れている学者もいるが、その価値に対して学術界で知っている人は少なく、認識がまだまだ不十分です。

  『孔子家語』は孔子の言論及び関連資料のまとめであり、歴史文献の材料として、『論語』と全く同じです。長い間教育に従事した孔子は多くの遺説を残しており、これらの遺説はすべて孔子の弟子が作ったメモですね。孔子が亡くなった後、みんなは孔子の学説を集め、編集・伝播し、孔子の思想をよりよく表現するために、いくつかの材料を選んで『論語』を編成し、残りの材料は『孔子家語』となりました。『孔子家語』と『論語』の2つの本は実際には性質が同じであることから、『孔子家語』の重要性が分かります。

  『論語』は語録体で、『論語』の編者が孔子の言葉を借りて孔子の思想を表現するものです。一方、『孔子家語』は多くの孔子の演説の場面と記録者を記載し、その大量の文献材料は、孔子研究、『論語』研究に対するいくつかの誤りを是正することができるだけでなく、そのために膨大な使用可能な文献資料を追加しました。『孔子家語』は1つの宝庫だといえましょう。

  『孔子家語通解』の作成は深く探求した結果である

  中国孔子網:先生は『孔子家語』研究分野の代表的なお方で、先生が編著された『孔子家語通解』は研究のマイルストーンと呼ばれています。先生はこのような偽書のラベルが貼られていた文献にどのように気づき、深く研究をなされたんですか? 

  楊朝明:『孔子家語』について、以前からこのような本があるって知っていました。私は孔子を専門に研究しているので、孔子を研究する文献材料にずっと注意しています。20世紀80年代末期、安徽阜陽で一連の漢簡が発見され、これらの漢簡は『孔子家語』の信頼性を証明しました。それ以来、私はますます『孔子家語』に注目するようになりました。

  その後、私の恩師である李学勤先生は『孔子研究』で『竹簡<家語>と漢魏孔氏家学』の文章を発表し、竹簡の中のいくつかの材料が『孔子家語』の原型かもしれないと考えていらっしゃいます。李先生の文章を通して、私は『孔子家語』に対する興味がもっと深くなりました。それから、戦国時代の楚墓でも『孔子家語』が発見され、それは非常に驚き、衝撃的なことでした。それ以来、私はこの本の真偽、その材料源、編集問題を考え、更にその価値を考えてきました。

  早期の文献、特に漢簡が発見されて以降、『孔子家語』は偽書だという声が存在しました。上海博物館館蔵の戦国竹書が出土してから、戦国時代の文献がなんと『孔子家語』の文献と同じであることが発見され、これは学術界に大きな波紋を広げました。

  今世紀の初め、私と私の指導する大学院生はこの本を注釈し始め、読書クラスを成立して『孔子家語』を研究しました。研究過程の中で『孔子家語』の価値がますます高くなっていることを発見し、私達は更に系統的に研究し、通解を行いました。通解とは、本を全巻で観察し、一章一編ごとに考え、それと関連する文献と対比するなど、異なる角度から研究することです。つまり後に作成した『孔子家語通解』ですね。

  一般の読者がどうやって『孔子家語』を読むか

  中国孔子網:『孔子家語』は孔子を理解する重要な著作として、一般の読者がどうやってそれを読み、理解すべきですか?

  楊朝明:儒学を勉強したいのですが、まずどんな本を読めばいいですかって多くの友達に聞かれました。私は『大学』『中庸』と『論語』を推薦した後、必ず『孔子家語』もお薦めします。『孔子家語』には多くの生き生きとしたシーンがあり、しかも描写が比較的に細かく、完備されています。例えば『論語』の一言に対し、仁者は仁を見、智者は智を見るように、人々は異なる解釈を行うことができます。しかし、この文を特定の背景と文脈に戻すと、その意味はより正確な範囲が持ちます。『孔子家語』の意義は対話発生の具体的な場面を提供することであり、記録された対話が生き生きとしており、イメージがあり、具体的であるため、もっと全面的であります。

  孔子の弟子たちはタイムリーに孔子の言論を記録する習慣があります。今伝わってきた孔子の遺言は、孔子が長期にわたって教育に従事してきた過程で弟子たちの記録ですね。『孔子家語』には、子張、子夏が孔子に質問を教えてもらい、夫子の言葉があまりにも素晴らしかったので、弟子たちは「決然として立ち上がり、壁に背を向いて立つ」「弟子はそれ志す」「退いて記す」などと記されています。これらの物語はすべて生き生きとしており、孔子の演説の内容を記載しただけでなく、孔子の思想も示しており、さらに重要なのはこの言葉の発生場面、背景が記録されており、読者である私たちがその場に置かれます。

  『孔子家語』は中華文明史の研究を推進する

  中国孔子網:2013年11月26日、習近平総書記は孔子研究院を視察し、机の上に置かれた孔子研究院の成果である『論語詮解』と『孔子家語通解』を見て、「この2冊の本をよく見てみたい」と述べました。今はもう8年が経ちましたが、孔子研究院と学術界は『孔子家語』研究の面でどのような新しい成果がありますか?

  楊朝明:『孔子家語』の研究に対して、孔子研究院は大量の仕事をして、『孔子家語』の研究に関する多くの著作を出版しました。私自身も『孔子家語』の普及読本、教師読本及び論文集をいくつか出版しました。現在、孔子研究院はすでに『孔子家語』を研究する重要な陣地となっています。

  学術界も『孔子家語』の研究にますます注目し、『孔子家語』ブームが次第に現れてきました。関連する研究論文は多く現れ、曲阜師範大学の博士、修士号論文だけで少なくとも二三十編あり、研究の深さは非常にあります。これらはすべて『孔子家語』の研究を豊富にしました。

  実際、地下文献の出土、学術界から注目度の向上に伴い、『孔子家語』の学術研究は大きく推進されました。『孔子家語』は新しい思想の世界を開き、古代文明を再認識させ、上古文明の理解に対して極めて大きな衝撃と刷新であります。これは中国文化の研究、早期儒学の研究、乃至中華文明史全体の研究に対して、極めて重要な意義があります。『孔子家語』の研究は現在の文化強国建設、中華優秀な伝統文化の革新、私たちの文化自信の樹立に重要な価値があると言えます。

  ニュースリンク:1分で『孔子家語』を知る

  『孔子家語』は『孔氏家語』とも呼ばれ、或いは『家語』と略称し、孔子と孔子一門の説話を記録した著作である。現存する『孔子家語』は全十巻四十四編、魏の王粛が注釈を加えたもので、本の後に王粛序と「後序」が付いている。

  『孔子家語』は最も早く『漢書·芸文志』に収録されており、すべて二十七巻、孔子の門人より編纂された。『孔子家語』は昔なくして散逸したと見られている。『孔子家語』に対し、従来から多くの論争がなされてきた。宋の王柏の『家語考』、清の姚際恒の『古今偽書考』、範家相の『家語証偽』、孫志祖の『家語疎証』はすべてそれを偽書だと考えている。宋朱熹の『朱子語録』、清の陳士珂と銭馥の『孔子家語疎証』序文、黄震の『黄氏日抄』などは違う意見を持っているが、千年以上の間、この本は広く伝わってきた。

  1973年、河北定県八角廊前漢墓で出土された竹簡『儒家者言』は、内容が今本の『家語』に近い。1977年、安徽阜陽双古山前漢墓でも『儒家者言』に対応する竹簡が出土され、内容も『家語』と関係がある。これらの考古発見は、今本の『孔子家語』に由来があり、前漢ではすでに原型が存在し、流布しており、偽書ではないことが証明された。後にと孔安国及び王粛と同時代の孔猛などの孔氏学者によって、長い編纂、変更、補充過程を経て、孔氏家学の産物になった。孔子とその弟子及び古代儒家思想に関する研究において重要な価値がある。

  

編集:高华

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