楊朝明:中国礼楽の伝統を探究 周公から孔子まで

ソース:中国孔子网作者: 2021-10-15 09:33

 教育部人文社会科学重点研究基地山東師範大学斉魯文化研究院が主催した斉魯文化と中華文明」学術公開授業の第二回がこのほど、山東師範大学で開催された。今回の公開授業は全国政治協商委員会委員、尼山世界儒学センター副主任、孔子研究院院長の楊朝明を主講ゲストに招待し、彼の講演のテーマは『中華礼楽伝統:周公から孔子まで』である。講座で、楊朝明は孔子の夢周公」を前置きとして、周公の特殊な身分と人生の過程を紹介し、周公が国の安定を補助し、典制と礼楽を創立した歴史功績を概述し、周公の礼楽が中華文明に対する重大な貢献と深遠な影響を総括した。彼は周公から孔子時代までの中華礼楽の伝統的な発展過程に対して独自の解読を行った。

 孔子から礼楽文明と周公を見る

 講座の中で、楊朝明はまず周公が中華礼楽文明の創始者であることを明らかにした。周公は中華礼楽の伝統を築き、中国の人文精神の基礎も形作った。彼は孔子の夢周公」を前置きとして、孔子が一生周公を推奨し、為東周」を人生追求としたことを指摘した。孔子が晩年に甚だしいかな、吾が衰えたるや。久し、吾れ復た夢に周公を見ず。」(『論語・述而』)の感慨は、孔子が当時の道」の崩壊に対する隠喩的な訴えである。

 春秋末期、社会の礼楽が甚だしく崩壊し、孔子は斉の礼楽を治すため、周の礼を綴り」、周代の礼に対して総括、整理を行った。楊朝明は次のように話した。孔子は周代の礼が夏商の二代の利益に由来すると考えた。周礼を勉強しなければならないし、夏商の礼も理解しなければならない。孔子が夏商の祖先のいる杞国と宋国に学習に行った時、周は二代に監みて郁郁乎として文なるかな。吾れは周に従わん。」(『論語·八佾』)と言い、周礼が文明のピークであるとした。」 

 楊朝明は、礼」を中華文明の内核とし、礼」の形式は五千年の歴史の中で絶えず変化していながら、その真髄が脈々と受け継がれていると考えている。周公と前儒学時代」は中国伝統の礼楽文明と孔子儒家学説に深い影響を与えた。

 周公の歴史的功績 

 殷周変革の初め、周公は極めて重要な役割を果たしていた。彼は武王を補佐して天下を取り、また成王を補佐して天下を固めた。『尚書大伝』では、周公の生涯の功績を要約している。一年救乱、二年克殷、三年践奄、四年建侯衛、五年営成周、六年制礼作楽、七年政成王。」周公は洛邑を建て、諸侯に分封し、礼楽を作り、その目的は周初の政治体制を安定させ、周朝の長きにわたる安定を守ることである。近代史家の夏曽佑は孔子の前、黄帝の後、中国と大きな関係があったのは、周公一人にすぎない」と指摘した。

 楊朝明は歴史文献に基づいて、3つのレベルから周公の歴史功績を概説した。その一、西周が成立した当初まだ安定しておらず、周公は反乱を定め、東方を統一し、その軍事覇者地位を確立し、周王朝政権の支配を強固にした。その二、成王七年、周公は摂政し、政治上長男継承制と分封制を確立した。このような宗法血縁を絆とした制度は、政治と倫理を結合し、国と家族を一体化させ、国家同構造,忠孝同義」の政権文化を形作った。その三、周公の制礼作楽」は、礼楽中の原始的宗教成分を脱し、礼楽を人々の日常生活における行為規則にし、そして次第に人文文化に発展させた。

 楊朝明は、周公が非凡な胆力と卓越した見識を持っており、天子にならなかったが、天子の徳を備えていると考える。成王八年、伯禽は魯地の分封を受けた。周王室が大量の典籍文献を賜い、魯国は独特に天子の礼楽を享受した。伯禽は周公が確立した制度と礼楽文明を受け継ぎ、礼の改革を行い、魯国に新しい文化の様相を発展させ、中華文明の礼楽伝統の基礎を定めることに大きな役割を果たした。

 孔子が周公に参考 

 孔子思想の誕生は魯国の礼楽の伝統と密接な関係がある。魯国は天子の礼楽を伝承し、独特な文化風尚を形成した。それは孔子学説と儒家思想の形成に、豊かな文化土壌を提供した。楊朝明は、孔子の生活の時代、礼楽が崩壊しながら、周代の典籍はまだあり、孔子はまだ多くの周初の歴史を見ることができる。それによって彼は周政」にならうことができる。」と考える。楊氏によると、『論語』には孔子が入太廟、毎事聞」と記されたが、ここの太廟」とは魯周公廟であり、また文憲王廟とも呼ばれ、魯国が礼楽を講習する重要な場所である。毎事聞」とは、孔子が知らない礼制と礼儀に対して、真実を求め、謙虚な態度で人に教えを求めた。同時に、孔子は洛邑に行って現場考察し、重要な政治文化の場所を遊歴し、西周の礼楽制度への憧れを示した。彼は周公を非常に慕い、常に周公の名言を引用し、周公に対する賛美は常に言葉にあふれていた。

 楊朝明は次のように指摘した。孔子は周公の事績と周公の制」をよく知っており、周公の典」を後世の行動の法度とした。周公は後世に元聖」と尊敬され、彼の明徳」保民」勤政」尚賢」慎罰」の政治倫理思想は、孔子の徳治」思想の源であり、儒家学説の基礎でもある。周公が唱えた順天得時」務在審時」思想は、儒家学説が主張する与時偕行」に理論の源を提供した。周公の品行の影響を受けて、孔子は国を治める君主の徳行に対して非常に重視している。

 礼楽伝統の精神伝承 

 礼楽の伝統は中華優秀な伝統文化の重要な構成部分であり、それに含まれる徳治、仁政、修身、仁愛などの思想は、現在の社会発展に対して非常に積極的な意義を持っている。講座の終わりにおいて、楊朝明は礼楽の伝統的な精神伝承と時代価値を強調した。彼は魯国の礼楽の伝統による巨大な作用は、主に孔子儒学の誕生に現れ、そして後世に重要な影響を与えたと考えている。

 楊朝明は、儒家学説は周公思想と直接に関係があると述べた。楊氏によると、孔子はその礼楽の学で生徒を教え、私家の講学を初めて行い、儒家学説を創立したが、実際は周公の礼楽の伝統を継承した。孔子が亡くなった後、その弟子達は諸侯のところに行って、礼の意義を説明し、儒家の学の影響を次第に広くした。彼は儒家が礼に対する説明は重要な時代価値があると考え、そして儒家が成人」の礼儀を重視することを例に、礼楽の成人」に対する教化作用は、ある技能を身につけたり、ある方面の素質を育成したりだけでなく、最も重要なのは成人」の世界観、人生観、価値観を形作ったことにあると指摘した。これは青少年の道徳的人格育成及び人生観の形成に重要な意義を持っている。今日、礼楽の伝統文化を真剣に研究し、その合理的な成分を参考にしてこそ、その創造的転化、革新的発展を実現させることができる。

 楊朝明の講座は周公、孔子と中華礼楽の伝統をめぐり、周公の礼楽が中華文明に対する重大な貢献、礼楽伝統の現代価値及び独特な魅力を深く述べ、斉魯文化と中華文明を理解し、研究するために新しい構想を提供した。

編集:张晓芮

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